素顔が見られる、女の子投稿型フォトダイアリー。
1: 華金
今日は念願の給料日。
待ちに待ったこの日に、(今日こそはっ。)と
激動の業務を数ヶ月間乗り越えた俺はある場所へと足を運ぶ。
そう、とある"花"に逢いに行ける日なのだ。
いつもの俺だったら、
憎き会社に向かう為のこの足が、何度も止まりそうになるのに今の俺は止(とど)まる事を知らない。
それは、俺の"使命感"から来るからだ。
【彼女】に会う為に足早に道を進めば、見慣れた店の看板が目についた。
当時、初回で緊張していた俺はこのキラキラした門が前すら、通るのを恥ずかしさのあまり躊躇(ちゅうちょ)していた。
だが、今となっては堂々とその店の扉を潜(くぐ)れるほど、心が成長した俺にはなんの躊躇(ためら)いすらもない。
……たまに臆することもあるが、な。
2: 竹を割ったような男
「すみません、予約した者ですが…。」
その直後、勢いよく見慣れた黒服が近づいて来た。
「Kさんっ!いらっしゃいませ!待ってましたヨォっ。」
「えぇ……?前回に比べて、酷い有様ですね。どうしたんですか、その顔…。」
目についた衝撃的な顔に突然の俺は驚く。
男の目の前まで現れた青年は、鼻の周りを大きなガーゼで止めたなんとも痛々しい顔立ちだったのだ。
(この男、前回も額とかに傷を作ったりしているがよく生きているな…。)
結構、イケメンの部類だと俺ですら思うのに来る度に毎回、怪我をしているから勿体無いよなぁ。
「いやはや!姫さんの1人が階段で倒れそうなところを助けようとしたら、エルボー喰らっちゃいましてね!見て下さい、この鼻。」
「いやいや、見せなくていいですからっ。その方は竹谷さんのおかげで無事だったんですね。」
「なんとか、守り抜きましたよぉ〜。さて、準備が出来次第のご案内をしますね。こちらのお席でお待ち下さい。」
相変わらず、屈託のない優しい青年で感心するなぁ。
普段、仕事で没頭(ぼっとう)している不健康な俺より儚(はかな)く突然いなくなりそうで不安が過(よぎ)ってしまう。
頼むから長生きしてくれよ。
次回に続く。