素顔が見られる、女の子投稿型フォトダイアリー。

「……俺さ、他人に"この言葉"を言われるのは本当に嫌いなんだけど、この機会だ。敢えて言わせて貰うね。」
男は目を伏せて、一呼吸置いてから口を開いた。
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「君は、"まだ若い"。」
凛としたその一言に部屋中が緊張に走る。
「だからこそ、沢山の人達と出会い…そして別れを繰り返して欲しい。」
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「"花の20代"という事もあって、神様から成長の為の試練も兼ねて君には色々な人間とのご縁が結ばれるだろう。」
「これを"酸いも甘いも噛み分ける"とも言うね。」パチリと音が聞こえる様な茶目っ気溢れるウインクをこちらに向ける。
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「そこで君は、良いものと悪いものの区別をその"心で"感じるだろう。」
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「それぞれの感情を言葉にし、その時その時に体験し得た【学び】を。」
片手を拳の形に固めてからゆっくりと、手のひらを広げて自身の胸の位置まで動かす。
男は胸の辺りまで手を留めると、頭を傾げて柔らかな微笑みで言葉を紡ぐ。
「自分より若い世代に伝えて欲しいと俺は願っている。」
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「君は素直で頭も良くて、この先の"生き方"は多岐に渡るだろう。」
片手の指を一本一本折って、虚空の先には幾つもの道筋を想像させる様に分かりやすく伝えてくれる。
「これからの自分がどんな夢を抱いて未来へと一歩踏み出すかは自分の【心の力】次第だ。」
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「この先、沢山の見えない壁を前にして…もどかしさから『不安や、怒りで』立ち止まってしまうと思う。」
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「でも、それは君自身が成長する為の"試練の時間"だと思って欲しい。」
男の骨張った人差し指を宙(ちゅう)でくるりと回す。
「冷静に周りを見て欲しい。」
「いつか君自身の力で、道を切り開(ひら)ける場所が見つけられると思う。」
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「真っ直ぐに進まずに、一度、別の角度を観察するのもありだよ。」
柔らかく安心させられる笑顔で目を瞑りながら言葉を続ける。
「だって、必ず君自身が望んだ"夢"への道筋に繋がっている筈だから。」
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「まぁ、簡単に言えば『頑なになり過ぎず』。あとは『固執し過ぎない事』なんだけどね。」
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「仕事しかり、人間関係しかり。」
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「自分が焦らずにコツコツと、目で見た事や耳で聞いた情報をもとに自分の【成長の糧になる】ものだけを吸収出来たら…。」
最後の言葉を皮切りに口を閉じる。
男はニッと笑みを深めると、挑発する様に目を細めた。
「それって、めっちゃかっこよくない?」
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